ラベンサラ Ravensara aromatica という名称が、ラヴィンサラ Cinnamomum camphora に変わりました。

数年前から、芳香植物の専門家やアロマテラピーの研究者の間で「ラベンサラ Ravensara aromatica」と「ラヴィンサラ Cinnamomum camphora」の名称の混同が問題視されてきました。そして、そういった混同や誤りを解くべく調査や研究が進められた結果、今まで「ラベンサラ Ravensara aromatica」という名で流通していた精油が、実は、植物学的に見て、ラベンサラ Ravensara aromatica の植物の葉から蒸留さ れたものではなく、原産地のマダガスカルで「ラヴィンサラRavintsara」と呼ばれている学名「Cinnamomum camphora」の植物の葉を蒸留したものであることが明らかになりました。

よって弊社では、その成果を踏まえ、下記のように精油の名称を変更することになりました。

 

植物学名:Ravensara aromaticaCinnamomum camphora BS 1,8-cineole
日本語商品名(慣用名):ラベンサラ(Ravensara) → ラヴィンサラ (Ravintsara)

 

誤解のないよう繰り返しますが、精油そのものはまったく同じで、植物学名と日本語商品名(慣用名)のみが変わります。

名称の混同

現在、市場に出回っている多くの精油が、成分的に見て間違いなくラヴィンサラ Ravintsara(学名:Cinnamomum camphora BS 1,8-cineole)であるにもかかわらず、ラベンサラ(学名:Ravensara aromatica)と表示され販売されています。

こうした学名の混同がいつからどのようにして発生したか、本当のところよくわかってはいませんが、"Ravensara" という言葉が、原産地のマダガスカルの人々が Cinnamomum camphora の植物に付けた "Ravintsara" という呼称をラテン語読みにして考案されたところに、端を発しているのではないかと考えられます。ちなみに、Ravintsara はマダガスカル語で「よい葉」という意味です。

ラヴィンサラ Cinnamomum camphora はケモタイプの精油

Cinnamomum camphora はいわゆる「ケモタイプ」の精油で、同じ学名の植物であっても産地によって含有成分のまったく異なる精油が抽出されます。

例えば、日本で「クスノキ」あるいは「樟脳の木」と呼ばれる、日本原産のCinnamomum camphora からは、「芳樟油」「カンファー油」あるいは「ホーリーフ油」という名の、カンファーの含有率が50%以上の精油が抽出されます。

また、リナロール・タイプや、サフロール・タイプ、ネロリドール・タイプといった精油もあり、それぞれカンファー・ホワイト、カンファー・レッド、カンファー・ブルーなどと呼ばれている場合もあるようです。

 

マダガスカル原産のラヴィンサラ Cinnamomum camphora は、1,8-シネオール・タイプの精油で、1,8-シネオールの含有率が60%前後と多く、他の主な含有成分としてはサビネンやα-テルピネオールで、カンファーなどのケトン類の成分は1%以下と微量にしか含まれていません。

 

ですから、学名が同じ Cinnamomum camphora だからといって樟脳の香りがする日本やアジアの「カンファー油」や「ホーリーフ油」と、マダガスカル原産でシネオールの香りが特徴的な「ラヴィンサラ」を混同しないようにしてください。2つの精油は似て非なるものです。

繰り返しますが、マダガスカル産の Cinnamomum camphora の葉を水蒸気蒸留して抽出された精油は「ラヴィンサラ Ravintsara」であって、日本・アジア産の Cinnamomum camphora から抽出された「カンファー油」や「ホーリーフ油」とはまったく違う精油です。
ラヴィンサラ は1,8-シネオールを豊富に含み、アロマテラピーでは欠くことのできない重要な精油です。飲用、皮膚塗布、芳香浴と使用法も幅広く、作用も穏やかで、小児にも安心して使える精油のひとつです。

逆に、カンファーを多く含むカンファー油やホーリーフ油は、使用に際し注意が必要で、アロマテラピーに使われることはほとんどありません。

ラベンサラ Ravensara aromatica

では、Ravensara aromatica という学名の植物は実際には存在しないのかというと、マダガスカル固有の植物として存在し、植物からは精油も抽出されています。

植物学名 Ravensara aromatica は、現地の言葉で「芳香樹」を意味する "havozo"あるいは "hanozo manitra" と呼ばれています。Ravensara aromatica の木は20~30mの高さにまで成長し、海抜700~1000mの地域に生息しています。赤味を帯びた樹皮には強い芳香があるのと、緑色の小さな花を付けるのが特徴的です。

フランスの植物学者・探検家ピエール・ソヌラ Pierre Sonnerat が、1782年にこの植物を発見し Ravensara aromatica と命名しました。

Ravensara aromatica の葉を蒸留することで得た精油は、1,8-シネオールを多く含有するラヴィンサラ Cinnamomum camphora と違いリモネンを多く含みます。

Havozoと呼ばれる Ravensara aromatica の樹皮から得られた精油は、メチル・カルビコールの含有率が非常に高く、アニスの香りがします。

ちなみに、Ravensara aromaticaRavensara anisata あるいは Agatophyllum aromaticum Willd と呼ばれることもあります。

見分け方

多くのメーカーが「ラベンサラ Ravensara aromatica 」と表示している精油のほとんどは、実際には「ラヴィンサラ Cinnamomum camphora 」です。

では、正しく表示してある場合を除いて、どのようにして精油の中身を把握すればよいでしょうか。

箱や瓶ラベルに「ラベンサラ Ravensara aromatica 」と表記してあっても、最も含有率の高い成分が1,8-シネオール(60%前後)の場合、まず間違いなく「ラヴィンサラ Cinnamomum camphora 」の葉を蒸留した精油です。また、もし最も含有率の高い成分がリモネンである場合には、表記通りラベンサラ Ravensara aromatica の葉の精油であると考えられます。

また、香りを嗅いだだけでもすぐに違いがわかります。1,8-シネオールの特徴である スーっとしたユーカリ様の清涼感のある香りであればマダガスカル産のラヴィンサラ Cinnamomum camphora の精油であり、アニスにピリッとスパイスを効かせたような香りであれば、Ravensara aromatica の精油になります。もし、Cinnamomum camphora と表示してある精油で、香りを嗅いでみるとタンスの防虫剤の匂いを思わせる樟脳臭がしたら、それはマダガスカル産のラヴィンサラではなく、日本かアジア産のカンファー油かホーリーフ油です。