野生と栽培のラベンダーはどう違うのでしょうか? と、よくご質問をいただきます。
野生は人の手がまったくかかっていないラベンダーです。プロヴァンスの石灰質の山(標高1600-1800m位)に生息しています。子孫継承は自然のなすがままですから、年々ビオトープ(生息圏)は減少しており、いまや大変稀少になってしまいました。
栽培ラベンダーの場合は6~7年で収油率が下がるので、挿し芽(親株から枝や茎を切り取って増やす方法)をして親株を繋ぎます。挿し芽は親株の遺伝子が伝わるので、突然変異しない限り、親株の性質がそのまま受け継がれます。親が良ければ、子も良いという安定した性質を維持することが可能です。
さて、精油に加工された場合はどう異なるかと言うと、香りが異なります。両者の香りをそれぞれ知っている鼻のきく人でしたら、その香りをかぎ分けることができますが、精度の高いGC/MS(ガスマス)分析を比較してもわかりません。人間の嗅覚というのは実に精巧で素晴らしい器官です。
ワインと同様に収穫年によって香りも成分構成も異なるのが天然のエッセンシャルオイルたる所以ですが、特に野生ラベンダーはビオトープや天候などの自然環境の影響を受けやすいのです。動けない植物は自らの命を守り、また子孫を継承するために厳しい自然の中で生息しています。
野生ラベンダーは香りも成分も大きく変動することがありますが、ゆるぎない野生の魂とも言うべきものを持っています。それは当然、ケアにも反映されます。いまに伝承される『万能薬』の評判は、栽培がなかった大昔の頃、つまり野生ラベンダーのものです。
コメントをお書きください