日本語では肉桂(ニッケイ)とも呼ばれるシナモンは、中国、インド、スリランカを原産とする植物ですが、今日ではマダガスカル、アンティル諸島、マレーシアなどでも栽培が行われています。
さまざまなシナモン(Cinnamomum)属の樹皮から、シナモンスティックなどの香辛料として用いられるものやエッセンシャルオイルが得られます。
味も香りも上品で繊細なのは "Cannelle de Ceylan(セイロンニッケイ)"と呼ばれる Cinnamomum verum(Cinnamomum zeylanicum) です。
注意が必要なのは Cinnamomum verum と Cinnamomum cassia の混同です。古代エジプトやギリシャの昔からしばしば混同されてきました。
『マテリア・メディカ De Materia Medica』の著者ペダニウス・ディオスコリデスや古代ローマ最大の医学者と言われるガレニクもこの2つを同一の植物と見なしていました。
質のよい Cinnamomum verum はスパイシーな中に甘さがあり、マイルドで上品な香りがします。これはスパイスでもエッセンシャルオイルでも同様です。
写真(セイロンニッケイ)は5月18日に東京都薬用植物園(小平市)の温室で撮りました(もうすぐ花が見られそうです)。いまの時期はモルヒネの原料となるケシやヒマラヤの青いケシ、イランイランの花なども見ることができます。
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