アロマテラピーに欠くことのできないエッセンシャルオイルの一つにラヴィンサラがあります。真正ラベンダーと並んで用途が広く、使い勝手のよいエッセンシャルオイルです。
ラヴィンサラの学名は Cinnamomum camphora で、和名は樟脳(クスノキ)。日本のクスノキはカンファー(樟脳)を多く含有するため、防虫用に使われています。
アロマテラピー用のエッセンシャルオイルとしてはマダガスカル産の1,8-シネオール(ユーカリプトール)を多く含むタイプが主に用いられています。ケモタイプのエッセンシャルオイルなので、Cinnamomum camphora BS 1,8-cineoleと表記されます。
樟脳は16~17世紀にアジアからマダガスカルに輸入されました。アジア原産のものは、樟脳(カンファー)が高濃度に含まれていますが、マダガスカルの土壌でその化学組成は変異し、樟脳をほとんど含まない代わりに1,8-シネオールを豊富に含む植物になりました。
そして、この変異がマダガスカル語で「良い葉」(Ravina = Leaf、Tsara = Good)を意味するRavintsara=ラヴィンサラという慣用名を生みました。
マダガスカルでは、すべての種類の病気や感染症を治すことができる、奇跡の植物であると言い伝えられています。
ラヴィンサラのエッセンシャルオイルは、Antoine Baumé(薬剤師・化学者)が初めて抽出し、数年後にPierre Boiteau(植物学者)が研究し、1775年にその治療効果が明らかにされました。
ラヴィンサラは、Ravensara aromatica と混同されてきた歴史があり、今日でも混同されることが少なくありませんが、その成分組成と性質は全く異なります。
ラヴィンサラは、ウィルス感染症(特に冬に流行する)対策に用いられるだけでなく、疲労、不安、不眠など心身両面のトラブルにも有用とされています。
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