イランイラン Cananga odorata はフィリピン原産の植物で、黄色い細長い花弁の個性的な花を咲かせます。今日では熱帯雨林気候のレユニオン島、マダガスカル、コモロ諸島などにも生息しています。
フローラルでスパイシー、そして温かみのある華やかで魅惑的な香りがするこのエッセンシャルオイルは香料業界を魅了し、調香師にとても人気があります。1926年にココシャネルのボアデジル Bois des Iles de Coco Chanel という香水で有名になりました。今日でも多くの香水にブレンドされています。
このエッセンシャルオイルは約20時間かけて水蒸気蒸留されます。時間経過順にエクストラ(初留分)、Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ(中留分から後留分)に分けられます。エクストラには低沸点の香りが立つアルコール類などの香気成分が多く含まれるため、香水にはこの部分が用いられます。
一方、アロマテラピーでは、イランイランの成分を余すところなく使います。つまり、エクストラから後留分までを全て蒸留した“完全蒸留”のエッセンシャルオイルです。エクストラに比べると、柔らかい香りになります。さまざまな成分がバ ランスよく含まれているので作用特性に富みます。
エクストラのイランイランは苦手だけれど、完全蒸留のイランイランは好きという人も少なくありません。
完全蒸留のイランイランはリラックスを目的とするローションやマッサージオイルなどにブレンドされることが多く、精神安定剤的な働きがあると言われています。心身をリラックスさせて血圧や心拍数を調節します。
また、美容にも欠かせない成分が含まれているので意外と用途の広いエッセンシャルオイルです。
インドネシアでは昔から、新郎新婦の家のソファをイランイランの花で飾る習慣があります。
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