マーガレット・ワイズ・ブラウン作、バーバラ・クーニー 絵 / 他『ちいさなもみのき』(福音館書店)、という絵本を見つけました。
森のはずれに生えた小さなモミの木が、足が悪くて寝たきりの男の子の部屋に運ばれ、ベッドの足元の樽に植えられるシーンが、こう描かれています。
ちいさいもみのきが やってくる
ちいさいもみのきが やってくる
シュッシュッと
えだのふれあう おとがする
ツンツンと
はなをさす みどりの においがする
モミの新鮮な香りは、森の静けさと星明りの夜を想起させ、爽やかな空気を部屋に満たします。その香りの正体は針葉に含まれるエッセンシャルオイルです。
モミの中でもマイルドでよい香りのするのは、“バルサムモミ Abies balsamea ”と“シベリアモミ Abies sibirica ”。両方とも生木はクリスマスツリーに用いられ、また、エッセンシャルオイルはアロマテラピーに用いられます。
バルサムモミはアメリカ北部、カナダなどに生息している針葉樹で、クリスマスツリーとして人気ナンバーワンの品種。エッセンシャルオイルはネイティブアメリカンによってさまざまな病気の治療にも用いられてきました。
シベリアモミはタイガと呼ばれるシベリア地方の針葉樹林帯に生息し、短い夏の間に水蒸気蒸留によって抽出されます。
バルサムモミとシベリアモミのエッセンシャルオイルには、モノテルペン類(ピネンや3-カレンなど)とエステル類(ボルニル・アセテート)などが含まれています。
病原菌の成長・増殖を抑えて空気感染を防ぐことが知られていて、風邪が流行する時期の芳香浴に適しています。お部屋の空気をきれいにして呼吸を快適にします。締め切った部屋で長く過ごす冬にぴったりのエッセンシャルオイルです。
ユーカリラジアタやローズマリー・シネオール、ペパーミント、柑橘の果皮から抽出された他のエッセンシャルオイルとブレンドすると使いやすくなります。
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