住宅街を散歩していると、どこからともなく香しい柑橘の花の香りがしてきます。ユズ、ミカンなどの白い花が咲いています。
オレンジ Citrus aurantium の花から抽出されるのが「ネロリ」と呼ばれている高貴なエッセンシャルオイルです。
17世紀にイタリアの公爵夫人となった「la Nerola」という愛称で知られるAnne-Marie de la TREMOILLというフランス人女性が、この香りをこよなく愛したことに由来するようです。
入浴には浴槽を花で満たし、衣類はもとより邸宅の隅々までを香しくするために惜しげもなくオレンジの花の香水を使っていたそうです。
最上級のネロリの原産国であるチュニジアやモロッコなどの北アフリカでは、2月下旬から4月下旬にかけて花の収穫と蒸留が行われます。
ネロリの収油率は0.07~0.15%と非常に少なく(1キロのエッセンシャルオイルを得るのに約1トンの花が必要)、稀少で高価な他のエッセンシャルオイル同様、いかなる加工もされていなくて、純粋でしかも最適な方法で蒸留されたものを手に入れることは年々とても難しくなっています。
品質の良いネロリのエッセンシャルオイルを見分けるにはエッセンシャルオイルを手の甲に1滴垂らし、エッセンシャルオイルが皮膚に吸収されたら香りをかぎます。品質の良いネロリなら、抵抗なく鼻からすーっと入るやさしい香りがしますが、品質が悪いとむせるようなきつい香りがします。
エッセンシャルオイルの中には、その作用特性の詳しい研究がされておらず、我々の心身に与える効果について科学的、客観的な証明がなされていなくても、非常にポピュラーで、その香りが万人に愛されているエッセンシャルオイルがあります。
なぜならば、心地よいと我々が感じる香りには、それだけで精神心理面に良い効果をもたらすからです。ネロリは、そのすばらしい香りによって我々の心を魅了することによって癒してくれる、ローズと並んで最も多くの人々に好まれているエッセンシャルオイルの一つです。
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