ご存じの方もおられると思いますが、2017年にローズマリーの学名がRosmarinus officinalis L.からSalvia rosmarinus Schleidになりました。
Rosmarinus officinalis L.は1753年に植物学者リンネによって命名されました。当時は、植物を花や葉の形態や構造で分類していましたが、科学の進歩により、1998年にDNA解析による分子系統学に基づいたAPG分類体系が確立されました。
そして、2017年に発表された研究*によってローズマリーは、Rosmarinus(マンネンロウ)属ではなく、セージSalvia officinalis L.やクラリセージSalvia sclarea L.と同じSalvia(アキギリ)属に再分類されました。サルビア属ではなく、アキギリ属と呼ぶのは、属名の和名は国内種に基づいて名付けられるからだそうです。
新学名のSalvia rosmarinus Schleidは、Salvia officinalis L.(セージ)とRosmarinus officinalis L.(ローズマリー)を足して2で割ったような名称なので、紛らわしい感じがします。いまのままRosmarinus officinalis L.を使い続けたいと個人的には思いますが、時代の趨勢には抗えません。
Rosmarinus officinalis L.はシノニム(異名)として認められているので、今日でも使い続けられています。
Reference:
*Drew, B.T., J. Gonzalez-Gallegos, C.-L. Xiang, R. Kriebel, C. P.. Drummond, J. B. Walker and K. J. Sytsma (2017). “Salvia united: the greatest good for the greatest number.” Taxon 66 (1): 133-145.
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花好き (土曜日, 01 3月 2025 18:34)
昔の牧野博士の植物図鑑(1980年代)を見て覚えた世代には新植物体型って納得行かない部分が多々有ります。
しかも、再編、再々編により、分類が行ったり来たりしてる植物も。
ニラがユリ科からヒガンバナ科になとたり、
ギボウシがユリ科からリュウゼツラン科→キジカクシ科になったり。
ユリ科でいいやんって叫びたくなります!!ヘメロカリスもユリ科からワスレグサ科になったりとか。人間のエゴで、植物にとってはありがた迷惑な話にさえ思えます。
日本エステル社 川島 (月曜日, 03 3月 2025 09:33)
花好き 様
コメントありがとうございます。新しい分類体系がなかなかしっくりこないというお気持ち、よくわかります!
植物分類の世界も科学の発展とともに常に変化しており、時に振り回されているように感じることもありますね。私もローズマリーの分類変更には戸惑いを覚えましたし、これまで馴染んできた名称が変わることには、一種の寂しさを感じます。
花好き様がおっしゃるように、ニラやギボウシ、ヘメロカリスなども分類が何度も変わり、混乱を招くこともあります。
ただ、植物たちにとっては、人間がどの分類に置こうが関係なく、変わらずそこにあり続けるもの。私たちは、そのたくましさや美しさを愛し続けていければいいのかもしれませんね。
ユリ科でいいやん!という叫びには、思わず共感してしまいました(笑)。これからも植物の魅力を共有できれば嬉しいです。