一般的にジュニパーと言えば、Juniperus communisのことです。実はジンの香りづけに用いられることで有名です。
実(液果)だけから抽出したジュニパー・ベリーと、実と葉の付いた枝から抽出したジュニパー・ブランチと呼ばれる2種類のエッセンシャルオイルがあります。
ジュニパー・ベリーは、熟した実を一つ一つ手で摘み、しかも温度や圧力調整がデリケートで長時間の蒸留を要します。そのため、正真正銘の実だけを蒸留したものは希少で、ブランチをベリーと偽って売られていることがままあります。主に飲用に用いられ、消化を促す作用や、結石症を防ぐ作用があります。
ジュニパー・ブランチは、主に外用(マッサージオイルやロージョンなど)に使われます。抗炎症作用や鎮痛作用があります。単独で使用することはなく、他のエッセンシャルオイルとブレンドします。小枝を春に採取し、砕いてから蒸留します。エッセンシャルオイルの成分は小枝を採取した時期や粉砕の程度などによって異なります。
ヨーロッパでは、かつてペストなどが流行したとき、ジュニパーの実が付いた枝を焚き、その煙で部屋を消毒したそうです。
ジュニパー・ベリーで香りづけされたジンは、世界中で親しまれているスピリッツですが、アルコールにジュニパー・ベリーを入れて薬草酒として利用されていたのが蒸留酒に発展しました。
ベルギーにはジンの元祖である“JENEVER(ジュネヴァ)”について学ぶことができるJunevermuseum(ジュネヴァ博物館)があり、バーも併設されていて130種類のジェネヴァを取り揃えているそうです。
参考文献:
*Philippe Mailhebiau (1994) , LA NOUVELLE AROMATHERAPIE, JAKIN
*https://www.jenevermuseum.be/en/museum/jenever-history, 閲覧日2021.03.14
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