アロマテラピーは、睡眠障害、痛み、慢性疲労、不安、うつ、ストレス、術後の吐き気や嘔吐など症状を改善することが知られていますが、成人に対するアロマテラピーの疲労改善効果について、信頼性の高い論文にメタアナリシスによる評価を行った研究があります。
世界で行われた19の研究が評価の対象となりました。吸入(芳香浴)12例とマッサージ7例で、主な結果は下記の通りです。
・ラベンダー単独で使用した場合と、複数のエッセンシャルオイルを混ぜたブレンドオイルは疲労の改善に有効であった。
・ケアの期間が2~4週間以上の場合は、顕著な有効性がみられたが、1日未満の場合は、効果が認められなかった。
・不眠症に対するアロマテラピーの効果は、マッサージよりも吸入(芳香浴)のほうが効果的である。
・うつ病に対するアロマテラピーの効果は、吸入(芳香浴)よりもマッサージのほうが効果的である。
この論文では、アロマテラピーが疲労を回復させるメカニズムは不明だが、エッセンシャルオイルの芳香分子を吸入(芳香浴)することは、エンドルフィン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出を誘発し、ウェルビーイングとリラックス感を高めて、ストレスを軽減できるとしています。また、マッサージは温かい手の刺激が加わることから、エッセンシャルオイルの吸収を促し、生理機能を活性化させ、また、身体をリラックスさせる効果もあるとしています。
そして、アロマテラピーは非薬物療法、補完代替療法として、西洋医学と比較して経済的で副作用も少ないことから、米国連邦政府は毎年302億ドルのアロマテラピー研究資金を提供していると報告しています。
Reference:
Wang, Q., Wei, L., Luo, Y., Lin, L., Deng, C., Hu, P., Zhu, L., Liu, Y., & Lin, M. (2022). Effectiveness of Aromatherapy on Ameliorating Fatigue in Adults: A Meta-Analysis. Evidence-based Complementary and Alternative Medicine : Ecam, 2022, 1141411.
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