ダマスクローズの蒸留

ダマスクローズの主要産地であるブルガリアなどでは年に一度、5～６月に花が咲き、エッセンシャルオイルを得るために水蒸気蒸留が行われます。

樹齢4年で約500～600個の花をつけますが、１mlのエッセンシャルオイルを得るには約3000～4000個の花が必要なので、ローズの滴がいかに希少であるかがわかります。

ローズは手摘みで収穫します。太陽が昇り、気温が上がり、花が開ききってしまうと、含まれている芳香成分が揮発してエッセンシャルオイルの収量が低下するので、摘み取りは早朝に行われます。蕾が開いて満開になるまでが勝負です。

そして、収穫したら花が傷まないうちに水蒸気蒸留を行う必要があります。花の収穫時の気温、湿度などによっても影響を受け、香りのよい確かな品質のエッセンシャルオイルを得るためには、大変な作業を強いられます。

エッセンシャルオイルはシトロネロール、ゲラニオール、ネロールという３つの主要なモノテルペンアルコール類で約2/3が占められていますが、その他の微量成分が多く含まれているのが特徴で、その数は275以上にもなります。

華やかな香りのするローズは香料として人気がありますが、アロマテラピーでも人々の心を癒すだけでなく、美容効果などもあり、さまざまな効能を秘めています。

Reference:

Mailhebiau, P. (1994). LA NOUVELLE AROMATHERAPIE. JAKAN

Nunes, F.S. & Miguel, M. G. (2017). Rosa damascena essential oils: a brief review about chemical composition and biological properties. Trends Phytochem. Res. 1(3), 111-128.