科名:シソ科
エッセンシャルオイルの抽出部位:花が咲いている全草
エッセンシャルオイルの特性成分:生育条件によって成分が異なります
タイムという名の語源は、ギリシャ語で「力」を意味するthisに由来するとも、古代エジプトで遺体をミイラにする際に使われたthamという芳香植物に由来するとも言われています。また、thamのギリシャ名thumoには「私は香る」という意味があります。
シソ科タイム属 Thymus は100以上の種と変種があり、ヨーロッパ全土には50種以上が生息しています。そのうちの約15種がフランス原産のものです。 例えば、フランスにはイブキジャコウソウ Serpolet と呼ばれるThymus serpyllumと、タイムThymus vulgarisという 2 つの代表的なタイム属の植物があります。
古くから南仏の人々は、同じ種類のタイムでも生えている場所の違いによって香りが異なるものが収穫できることを経験的に知っていました。フランスでは60年代初頭からこうした場所の変化に伴う香りのヴァリエーションを化学的に裏付ける研究がなされ、タイムは同じ種類のものであっても生息している環境の違いによってエッセンシャルオイルの特性成分が大きく異なる、いわゆる「ケモタイプ」と呼ばれる芳香植物であることがわかりました。
現在、タイムThymus vulgarisの代表的なエッセンシャルオイルは、チモールやカルバクロールなどフェノール類を特性成分としたものと、モノテルペノール類のリナロールを特性成分としたものです。
タイム・カルバクロールが最も多く、海抜高度の低い乾燥したガリックに生息しています。次はタイム・チモールで海抜 300~500m 地帯。タイム・リナロールは海抜 500~1300m でよく見られます。 タイム・リナロールはまだ一般にはよく知られていないエッセンシャルオイルです。
同じフェノール類を特性成分としたタイム・チモールとタイム・カルバクロールは香りを嗅いだだけでは特定が難しく、実際、2 種が混じり合ったものも多く見られます。リナロールタイプのタイムは香りも優しく、これらフェノール系の刺激の強い芳香を放つ植物とはっきり区別することができます。
特性成分から見て極端に不均一な野生の生息域とその収穫の難しさから、近年さまざまなケモタイプのタイムが栽培されています。栽培では野生種と異なり、チモールならチモール、リナロールならリナロールと特性のはっきりしたケモタイプのタイムを収穫することできます。
アロマテラピーにご使用になられる場合には、書籍やサイト等をご覧になり、ご自身の責任と管理の下に行ってください。
※植物およびその抽出物(精油)の一般的な性質を紹介するものであり、製品の効果効能を示したものではありません。