アロマテラピーに長年親しんでいる私たちにとっては、心地よいエッセンシャルオイルの香りをかぐことで、心身の緊張がほぐれるだけでなく、不安や抑うつなどの精神的不調も緩和されることを、体験的に知っています。
それでは、こうしたエッセンシャルオイルの効用を、「こころの専門家」はどのように考えているのでしょうか。
精神科医の中井久夫先生は、入院患者の回復力を高め、院内感染に備える自衛手段の一例として、アロマテラピーを勧めています。
「精神科の薬物ばかりが能じゃない。アロマセラピーつまりハーブを使うのもよかろう。ラヴェンダー、ユーカリ、リンデンなどは普通に使われる鎮静性のハーブである。好みのハーブエキスをあらかじめ選んでおこう。嗅ぐだけでもよい(特に「絶飲食」の時は)。手術後にハーブのお湯で足湯をするのもよい。私の友人が理事長をしていた病院では、手術の翌晩にハーブの足湯をしてくれる決まりがあった」(『臨床琑談』みすず書房)。
また、公認心理師・臨床心理士の伊藤絵美先生は、ストレス・コーピングの一つの方法として、エッセンシャルオイルを使ったリラックス呼吸法を提案しています。
「リラックス呼吸法(ため息をつくように息を細く長く吐く→鼻から吸う、の繰り返し)、あおむけになって体重を全て背中にあずける、アロマ(ラベンダー、ベルガモットなど)の香りを味わう、目を閉じてリラックスできるイメージ(森林、海辺など)にひたる」(『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』晶文社)
精神医学界のレジェンドと著名なカウンセラーというセラピーの本流にいらっしゃるお二人が、エッセンシャルオイルについて触れられている文章を読んで、アロマテラピーもれっきとしたセラピーなのだと改めてお墨付きをもらったようで、とても嬉しく思いました。
コメントをお書きください